非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とする民法の規定/実務への指針1

ginkouhoumu

相続の取扱いは金融法務の重要な一角を占め、多数の判例や先例が集積されているが、金融取引や家族関係の変化等を背景に新たな問題も生じてきている。

このような中、注目すべき裁判例がいくつか示されており、金融取引と関連の深いものも見受けられるため、ここにまとめて採り上げてみたい。

判例1:非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とする民法の規定が違憲とされた事例(最大決平成25・9・4金融・商事判例1425号18頁)

3-1.実務への指針

本件規定については、以前から憲法14条1項に定める法の下の平等に反するとして合憲性が争われており、最大決平成7・7・5金融・商事判例980号3頁(以下、「平成7年決定」という)は、違憲の主張を退け、以降も、最高裁では、同旨の小法廷判決・決定が続いていたが(本決定の直近では、最決平成21・9・30判例時報2064号61頁)、各判決・決定にはすべて少数意見が付されていたほか、当該事案に限って適用違憲とする下級審判決も見受けられる状況にあった。

本決定は、国民の意識の変化や諸外国の立法動向なども踏まえて詳細な分析を行い、遅くとも平成13年7月以降については、本件規定は合理的な根拠を欠き無効と判断した。

これを受けて、旧民法900条4号但書中の該当部分を削除する民法改正案が平成25年12月5日に成立し、同月11日施行された。

非嫡出子と嫡出子の相続分の区別の合理性については判旨が述べるとおりと考えられ、立法的にも解決されたが、判旨の部分については、問題が残されている。

まず、本決定は、従前の各最高裁判決・決定の判断を変更するものではないが、「遅くとも」平成13年7月以降については本件規定が無効と判断していることから、最決平成21・9・30の事案の相続開始日である平成12年6月30日と、本判決の事案の相続開始日である平成13年7月の間に発生した相続については、本件規定の有効性は判断されていないことになる。

また、平成13年7月以降に発生した相続に関しては、相続分の遡及的な変更は相続後に行われた権利変動に影響するところが大きく、判旨がいうように事実上の遡及効を制限する一種の「割り切り」もやむを得ないようにも思われるが、同時期に相続が発生した事案でも、終局的な遺産分割が終了していたかどうかにより、かえって不公平な結果を招きかねないし、遺産分割協議終了後に新たに相続財産や相続債務が判明した場合については困難な問題が指摘されている。

2015年12月23日