銀行の開示義務を否定した事例/事案の概要

ginkouhoumu

相続の取扱いは金融法務の重要な一角を占め、多数の判例や先例が集積されているが、金融取引や家族関係の変化等を背景に新たな問題も生じてきている。

このような中、注目すべき裁判例がいくつか示されており、金融取引と関連の深いものも見受けられるため、ここにまとめて採り上げてみたい。

判例2:預金口座の解約後に相続が発生し、口座名義人の共同相続人の1人から単独で取引明細の開示を求められた場合に、銀行の開示義務を否定した事例(東京高判平成23・8・3金融法務事情1935号118頁。上告・上告受理申立て)

1.事案の概要

平成18年11月2日に死亡した被相続人の共同相続人の1人が、被相続人が生前に取引していた銀行を被告として、被相続人の取引開始以後の全取引経過の開示(本件開示請求1)、または、同人が被告との取引をすべて解約した平成17年4月18日に行われた取引と、それ以外の500万円以上の資金移動に関する一切の取引について詳細な内容の開示(本件開示請求2)を求めた。

2016年2月23日