投資信託受益権

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投資信託受益権の相続時の収扱いについて、学説は、現在の投資信託については、口数による可分性を妨げるような問題はないこと、価格の変動のある金融商品であり相続人全員の合意による解約を必要とすることは相続人の負担が大きいとして、分割債権として取り扱うべきであるとの見解が有力であったと考えられる。

これに対し、下級審の裁判例は分かれていた。

1.可分債権とするもの

取引約款により、受益証券の寄託者は、混蔵保管された受益証券全体について、寄託数量に応じて共有するが、他の受益者と協議せずに受益証券の返還を請求できること、および、投資信託は1口(1口の価額は1円)単位で解約を請求できることから、可分債権である。

相続の開始により、法律上当然に分割され、各相続人がその相続分に応じて権利を承継し、単独で行使することができる。

2.準共有とするもの

ア.約款等に基づくもの

投資信託の受益権は、解約請求権のほか、議決権、分配金請求権等を含み、性質上不可分債権である、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割単独債権として取得できない。

イ.法令に基づくもの

証券投資信託の受益権は、一部解約実行請求権、一部解約金支払請求権、買収請求権、償還金請求権(投資信託法6条3項)および収益分配余請求権(同項)、議決権(同法17条6項)等の権利の集合した一つの契約上の地位である。議決権は、不可分債権の性質を有する。

受益証券発行信託の受益権が2人以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該受益権についての権利を行使する者1人を定め、受益証券発行信託の委託者に対し、その者の氏名または名称を通知しなければ、当該受益権についての権利を行使することができない(投資信託法6条7項が準用する信託法193条本文)とされ、準共有の対象となることを前提としている。

なお、準共有となる場合の解約権の行使についても裁判例は分かれている。

a.管理行為であるとするもの

個人が資産を投資信託の形で保有するか、それ以外の現金、預貯金等の形で保有するかは、資産の運用方法の相違であり、投資信託の解約請求または買戻請求を行うことは資産管理の一内容であるとして、過半数の共有者の請求による解約を認め、相続分に応じた支払請求を認容したもの。

b.処分行為であるとするもの

準共有者が、投資信託を換価のため解約請求をすることは、その結果、投資信託自体が消滅することになるので、受益権を処分することにほかならないとするもの。

2015年3月20日