投資信託受益権の共同相続/最高裁

ginkouhoumu

最高裁は、以下のとおり判じて、控訴審判決を取り消し、控訴審裁判所に差し戻した。

・最高裁の判断

1.株式は、株主たる資格において会社に対して有する法律上の地位を意味し、株主は、株主たる地位に基づいて、剰余金の配当を受ける権利(会社法105条1項1号)、残余財産の分配を受ける権利(同項2号)などのいわゆる自益権と、株主総会における議決権(同項3号)などのいわゆる共益権とを有する。株式に含まれる権利の内容および性質に照らせば、共同相続された株式は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない。

2.委託者指図型投資信託(投資信託及び投資法人に関する法律(以下、「投資信託法」という)2条1項)の受益権は、口数を単位とするものであって、その内容として、法令上、償還金請求権および収益分配請求権(同法6条3項)という金銭支払請求権のほか、信託財産に関する帳簿書類の閲覧または謄写の請求権(同法15条2項)等の委託者に対する監督的機能を有する権利など、可分給付を目的とする権利でないものが含まれている。投資信託受益権に含まれる権利の内容および性質に照らせば、共同相続された投資信託受益権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない。外国投資信託は、投資信託に類するものであり(投資信託法2条22項)、内容は必ずしも明らかではないが、委託者指図型投資信託受益権と同様、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものとする余地が十分にある。

3.個人向け国債は、額面金額の最低額が1万円とされ(個人向け国債の発行等に関する省令2条)、権利の帰属を定める振替口座簿の記録はその額の整数倍の金額による(同令3条)。取扱機関の買取り(同令6条)もその額を基準として行われるため、法令上、一定額をもって権利の単位が定められている。このような個人向け国債の内容および性質に照らせば、共同相続された個人向け国債は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない。

4.株式、投資信託受益権および国債は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されるものでないので、その最終的な帰属は、遺産の分割によって決せられる。本件国債等は、遺産分割審判によって各持分4分の1の割合による準共有となった。したがって、共有物分割請求にかかる訴えは適法である。

2014年12月24日