投資信託に関する実務/配当金

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投資信託の中には、配当金が支払われるものがあるため、相続が開始した後遺産が分割されるまでに生じた配当金の帰属が問題となる。

配当金の中には、収益が配当されるものと、元本の払戻しを含むものとがあるとされる。

収益である配当金については、投資信託の果実であることから、投資信託受益権とは別個の財産と解され、可分債権として相続分により当然分割されて各相続人に帰属することとなると考えられる。

判例は、遺産共有中の不動産の賃料債権について各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するとし(最判平成17・9・8金融・商事判例1235号39頁)、また、供託の有効性に関する事案であるが、その前提として株式の配当金についても同様に分割債権と解している(名古屋高判平成23・5・27金融・商事判例1381号55頁)と考えられる。

元本の払戻しである配当金については、共同相続人の関与によらずに共有財産が金銭債権に変化したものである。

学説は、相続財産中の金銭による預金や相続財産の一部の換金処分をした場合の金銭債権は、もとの遺産共有の性格を失わず、分割債権とはならず、遺産分割の対象となるとするものが有力であるが、配当金請求権は受益権そのものではないこと、受益債権として具体化した金銭債権の行使については、可分給付を目的としない債権は含まれていないこと、また、すでに口数に従って共同相続人に割り当てられた確定した金額の債権であることなどから、分割債権として取り扱われるべきものであると考える。

前記名古屋高裁判決(ならびにその原審である名古屋地判平成23・1・13金融・商事判例1381号60頁)では、遺産共有中の株式の株式移転交付金および端数株式処分代金について、共有財産の一部が金銭に転化したものであるから、相続人がその相続分に応じて分割債権として取得するとしており、共同相続人全員の合意による解約金返還請求権と同様に、可分債権として相続分により当然分割されて各相続人に帰属することとなると考えられる。

したがって、投資信託の配当金については、配当原資の性格によらず、可分債権として相続分により当然分割されて各相続人に帰属するものと考えられる。

2015年7月21日