投資信託に関する実務/解約権の行使

ginkouhoumu

投資信託受益権の換金は、通常は、販売会社を通じて行う投資信託委託会社に対する解約の請求により行われているが、解約の請求は、準共有の対象である投資信託受益権の処分については、他の共有者の同意を得なければならない(民法251条の準用)とされていることから、相続人全員で行わなければならないこととなる。

投資信託受益権については、基準価格の変動があることから、相続人全員の合意が得られないときは、基準価格の下落等のリスクを相続人が負担することになる。

この点については、前記のとおり「個人が資産を投資信託の形で保有するか、それ以外の現金、預貯金等の形で保有するかは、資産の運用方法の相違であるにとどまり、投資信託の解約請求又は買戻請求を行うことは資産管理の一内容とみることができる」として、管理行為として共有者の過半数で行うことができる(民法252条)とした裁判例(熊本地判平成21・7・28)があるが、その控訴審(福岡高判平成22・2・17)は、投資信託を準共有する者が、換価すべく、準共有物である受益権について解約請求または買戻請求をすることは、その結果、投資信託自体が消滅することになるから、受益権を処分することであるとし、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、解約請求または買戻請求をすることができないとした。

一般的には、処分行為であると解されていることから、一部の相続人による投資信託受益権の解約請求は効力を有しないと考える。

2015年4月22日