共同相続による共有と可分債権の帰属

ginkouhoumu

人の死亡によって、当該故人についての相続が開始する(民法882条)。

被相続人に遺言がない場合、相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する(同法896条)。

相続人が1人であれば、当該単独相続人が、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継することとなるが、相続人が数人あるときは、相続財産は、当該共同相続人の共有に属する(同法898条)とされている。

各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する(民法899条)。

そして、遺産に属する財産の具体的帰属については、相続分のほか、遺産に属する物又は権利の種類および性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態および生活の状況その他一切の事情を考慮して、遺産の分割を
行って定められる(民法906条)。

遺産の分割は、共同相続人の協議で行うが、共同相続人間に協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができるとされている(民法907条)。

相続の開始から遺産分割がなされるまでの「共有」については、かつては、各相続人は遺産全体の上に相続分による持分を有するとする合有説も有力であったが、判例は、一貫して、各相続人は個々の相続財産に持分を有する民法249条以下の共有ないしは準共有であるとしている(共有説)。

しかし、所有権以外の財産権については、法令に特別の定めがあるときは、準用されない(民法264条)とされており、分割が可能な債権について数人の債権者がいる場合、別段の意思表示がないときは、各債権者は、それぞれ等しい割合で権利を有する(同法427条)とされている。

判例は、「相続人数人ある場合において、その相続財産中に金銭その他の可分債権あるときは、その債権は法律上当然分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継する」(最決昭和29・4・8民集8
巻4号819頁)とし、また、預貯金について「相続財産中に可分債権があるときは、その債権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されて各共同相続人の分割単独債権となり、共有関係に立つものではない」(最判平成16・4・20金融・商事判例1205号55頁)としている。

このように、預金については、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されて各共同相続人に帰属するものとされ、遺産分割の対象とはならないとされている。

2015年1月21日